介護業界で起業するための基礎知識

日本では、団塊世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年頃には、高齢者の割合が人口の30%以上に達すると言われている。これは同時に、介護産業の市場規模が右肩上がりで成長する事を意味しており、少子高齢化を背景に、若年層による購買を対象とするのではなく、介護報酬による利益を得るといったビジネスモデルが普及し始めている。実際、これまで介護業界とは無縁だった電機メーカーやゼネコンといった大手企業も参入している。

この様な状況の介護業界は、起業を目指すには魅力的な成長産業だと言える。しかし闇雲に起業して儲かるほど甘くはなく、個人が起業を考える場合には、人材・モノ・資金という3つの点について理解しておく必要がある。

先ず介護職は未だ離職率の高い不人気職種であり、人材を集めるのが難しいと言える。起業する事業形態にもよるが、訪問介護などでは看護師の常時確保が定められており、特に看護師の確保がネックとなる場合が多い。

また人員確保と合わせて、介護保険サービスの事業所として認定を受けるためには、施設設備(モノ)の要件に適合する必要がある。法令や基準を理解し、これらの定期的な改正に合わせた施設の維持・管理などを適切に実施していく必要がある。

最後に、既に見てきた人材とモノについては利用者がゼロであっても介護サービス指定を維持するためには必須となり、事業が軌道に乗るまではまとまった資金調達が必要となる点についても十分に認識しておくべきだ。

介護業界は成長産業であるが、起業するまでに押さえるべきポイントを知り、十分に準備を行う事が事業成功には不可欠だと言える。